プロの為替戦略プレミアム

6月29日 欧米市場為替戦略 《16:10》

【市場注目ポイント】
米ケースシラー住宅価格動向
米長期金利動向、3.0%割れ=欧州国債から米債へ資金流入
欧州ストレステストによる欧州系金融機関財務内容悪化公表
EU圏重債務国国債価格下落予想、民間金融機関・ECB財務悪化へ
保証コスト上昇
ギリシャデフォルト懸念、FT紙

【欧米市場為替売買シナリオ】
  EUは欧州系金融機関のストレステストを踏まえ、公的資金注入の準備があることを明らかにし、財務内容の健全化へ資金援助をしたうえで、金融市場の安定化を狙う目的があるようだ。ただ、独大手金融機関が他の欧州系金融機関より多額の不良債権を抱えていることが判明し、スペイン、イタリアなども前年度より150%程度の不良債権額が増加していることも分かったため、ユーロドルは1.2290ドル付近から1.2230ドル付近まで軟調な展開となった。

  欧州債券市場で、スペイン国債の応募倍率が一時的に改善したことが好感され、ユーロドルの買戻しとなる場面もあったが、国の債務問題解消の遅れによる国債価格の下落は、欧州系大手金融機関の保有する国債の評価損として影響されるために、常に、財務内容悪化が懸念される所だった。今後3年に償還期限を迎えるギリシャ、ポルトガル、スペイン、アイルランドなどの長期債のほぼ6割程度を欧州系金融機関が保有しているため、G-20での公約である2013年までに各国財政赤字を半減できなければ、更に、欧州系金融機関の財政悪化が加速することとなる。同時に、民間金融機関保有EU圏加盟国国債の購入、市場での買支えなどによるECBの信認性毀損などもユーロドル売り材料だ。

  また、BISは年次報告で、資金調達市場での最近の混乱が示したように、センチメントが悪化した際に銀行は借り換えで大きな圧力に直面することがあり得ると示唆している。直近の南欧諸国など国債価格下落による金融機関同士の資金調達懸念も浮上しており、EUとしての金融市場の安定化が急務となっている。加えて、来月のイタリア、ギリシャ、スペインなど借換えを控えており、金融機関財務内容の健全化が明確にならない限り、不安材料は解消されず、ユーロドルの上値を抑える材料となることだろう。引続き、ユーロドルの下値を探る展開を予想する。

  一方、ポンドドルは堅調な展開となったものの、1.5118ドルを上値に、上昇力は限定的だった。英連立政権樹立後は英保守党と英自民党との間で、財政再建をめぐる政策の違いが鮮明だったが、今回提示された緊急予算案の内容が格付け会社の高評価を受けると同時に、高いガバナンスによる英連立政権の運営に期待が拡大している。

  英住宅価格上昇、BOEが2.0%を目標とする物価指数が前年比3.4%へ上昇などインフレ懸念も浮上する中、BOE金融政策委員会の一部が、緊急予算実行後も利上げ開始の必要性が排除されることはないとの認識を示したため、金利引上げ観測がポンドドルの下支えとなっている。同時に、ポンドドル下落が輸入インフレを引起しており、内需拡大のためにポンド安を継続することには否定的発言をしている。ただ、ユーロドル下落に影響され、一時的に1.5065ドル付近へ下げているが、金利と為替両面で、ポンドドル買戻しを誘発することとなるとみられ、引続き、買いとしたい。加えて、英BP問題は英国財政負担になる可能性は否定できず、米英政府間での協議によっては、財政赤字拡大材料となり、一時的なポンドドル売りになるため、要注意だ。

  独系金融機関の財務内容悪化懸念やアジア株式市場の軟調さを背景に、豪ドル・ドルの損切りが発生した模様だ。底堅い資源価格や新政権の資源超過利潤税修正期待などを材料に、朝方、0.87ドル前半で推移していたが、リスクオフのユーロドル下落に連動する格好で、0.8625ドル付近へ下落した。ポンドドルは底堅い展開するものの、欧州系金融機関の財務内容が不透明なことは、リスク許容度の低下材料とならざるを得ないだろう。上海総合株価指数の下落も手伝って、欧米株式市場が下落に繋がる可能性は高く、豪ドル・ドルの上値が抑えられる地合いだろう。

米住宅関連指標悪化に伴う米景気の先行き不透明感を背景に、リスク許容度低下に伴う円買いが活発化したと思われ、89.40円付近から88.63円まで下げた。米長期金利が3.0%割れに急速に低下したことは大きな要因だ。直近の米中古住宅、新築住宅販売件数は優遇税制終了が影響されたと思われるが、予想以上に悪化したから推測すれば、本日の米ケースシラー住宅価格は低下するものと観測される。米消費者信頼感指数も前月より悪化予想となっていることも、ドル円の上値は抑えられるだろう。

材料不足と思われた中、米金利低下と米経済先行き不安によるドル円の下げとユーロドルの下落によって、計算上のユーロ円相場が109.80円から108.55円付近へ大きく下落したため、個人投資家などユーロ円ロングポジションの損切りが発生した。下げるから損切るという相乗効果により、下げ幅を拡大させたと思われる。
一方、ポンド円だが、ポンドドルが1.50ドル後半付近を小幅に上下する中、序盤こそ134.80円から135.15円へ上昇したが、ドル円が89.40円付近から88.65円辺りへ下落した影響を受けて、133.60円付近へ急落した。ポンドが安くなったのではなく、円が強くなった現象だ。
  また、動きの少なかった豪ドル・ドルが下げ始めたと同時に、ドル円が下げたことによって、対米ドルでの円高と豪ドル安の組合せとなり、77.95円から76.50円まで豪ドル円の下げ幅は拡大した。

  ドル円の上昇力が期待できない中、EU圏ソブリン・リスクと欧州系金融機関財務内容悪化懸念によるユーロドル下げにより、対米ドルでユーロ安と円高の組合せとなる。豪ドル・ドルもユーロドル下落に連動する動きとなる可能性も高く、豪ドル安と円高の組合せとなり、ユーロ円の動きと同様のものとなりそうだ。一方、ポンドドルは底堅い動きが予想され、対米ドルでのポンド高と円高の組合せとなり、方向感が出にくい格好だ。ただ、ポンドドルがユーロドルの下落に連動するようなこととなれば、ポンド円の上値も限定的と見られる。

【本日のポジション戦略】

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※当レポートは、投資や運用等の助言を行うものではありません。また、みなさまに特定の商品をお勧めするものでもありません。上記の為替レートは、参考レートです。

※日中の相場変動、解説はユーロパートナー新着情報に随時掲載致します。

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