5月31日 東京市場為替戦略 《8:00》
中国政府系ファンドのユーロ投資抑制報道を否定したことによって、ユーロドルを買い戻す動きが継続され、1.2450ドルまで上昇した。ただ、中東、インド、ロシアなど過去にドルからユーロへ資金移動されたと観測されるだけに、ユーロドル下落過程で、既に外貨準備資産の構成を変更したとの見方も浮上している。また、東京時間では1.24ドル前半から1.25ドルにかけて、アジア系中央銀行のユーロドル売りオーダーが控えているとの見方もあり、ユーロドルの上値は限定的となった。中国政府系ファンドのユーロへの投資継続を表明した所で、EU圏財政問題の解決に結びつかず、ユーロドルの積極的な買い材料とはなっていない。
EU圏重債務国の緊縮財政策が検討される中、ギリシャ、ポルトガルに次いで、スペイン政府が最も厳格な緊縮財政政策を僅か議会の1票差で可決したことが、今後の経済成長を低迷させるとの見方が強まった。加えて、格付け会社フィッチ・レーティングスは債務削減の過程で経済成長率が低下する可能性があると理由から、スペインの信用格付けを引下げた。
市場コンセンサスが緊縮財政による経済成長の鈍化が税収減になるということになっているため、EU圏重債務国が財政再建へ積極的になればなるほど、格下げ懸念や財政削減計画の頓挫が強まるということとなり、ユーロドルの売り圧力は高まるばかりだ。買い戻されたユーロドルは、その後、下支えをする材料に不足し、1.2265ドルまで急落する展開となっている。また、独財務相は財政赤字削減のための増税の可能性を否定しないと述べたことも、経済停滞に繋がる恐れもあることから、ユーロドル売り材料だ。
大局的なユーロドル下落の中で、ユーロに対する悲観的な材料に否定することで、一旦ユーロドルの上昇になることが多いが、経済成長低迷によるGDP低下に中、根本的な債務残高の軽減にはならず、ユーロにとっては弱材料だ。毎年の財政赤字をGDP比3%へ向け削減策を実施したとしても、債務残高を軽減するには至らない。また、EU・IMFによる緊急資金枠は一時的な資金繰りを緩和させるに過ぎず、財政赤字の先送りになることに市場は否定しているため、ユーロドルの下落は継続すると推測される。
また、独政府の空売り規制に対しても、EU圏全体で実施するものではなく、独政府が他のEU圏加盟国による財政赤字の被害を回避すると見られる目先の手段と観測され、EU主要国の足並みの乱れと判断されやすい。軟調な地合いに転じたユーロドルに買い材料はなく、引続き売りが継続されることだろう。
また、中国によるユーロ投資の悲観的見方が後退したことと日本の政治混迷と財政削減策が提示されないことを材料に91円半ばで推移したドル円は、米シカゴ購買部協会が発表した5月の景況指数は59.7と、前月の63.8から低下したため、一時90.64円まで急落した。ただ、3連休と月末を控えたポジション調整が中心となり、短期筋の買戻しが先行し91.10円で引けた。
社民党が連立政権からの離脱を決定した政治の混乱に対して市場では、政治空白を嫌気した海外投資家による「日本売り」を懸念する声が高まる可能性は強い。財政削減策の提示もできない鳩山首相辞任ともなれば、政治混迷による円売り材料となることと思われる。米経済指標の悪化で買われた円だったが、それ以上に円売り材料の注目度が高く、日本の悪材料が先行したようだ。引続き、円売り予想としたい。
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