11月30日 欧米市場為替戦略 《16:03》
欧州金融当局は欧州系金融機関への債務問題はないと断言する一方、UAE中銀のドバイ・ワールド支援報道が一旦、ドバイ・ショックを和らげることとなった。また、欧州株式市場と急落した金価格の回復が他通貨ドルを堅調にさせる展開となっている。ユーロドルは1.4990ドルから1.5080ドルをつけた後、短期筋の売りに圧され、ポンドドルは1.6500ドルから1,6585ドルへ上昇している。ただ、短期筋の売り圧力は強く、一気に上昇する展開に至っていない。
豪ドル・ドルは、マッキビン豪準備銀行理事のオーストラリア経済への強気な見解を受けて、0.9060ドルから0.91990ドルへ大幅に上昇した。機関投資家など一旦、利食い売りを強めると思われていたが、明日の豪準備銀行定例理事会での行方次第では、インフレ懸念による0.25%以上の利上げ観測が強まりだしている。そのため、売りを強めていた短期筋の買い戻し圧力が継続的に強く、対ドルでは上昇の流れとなっている。上海総合株価指数の堅調さも手伝って、豪ドル・ドルの上昇は継続するものと考えられる。
ドル円の動きは乱高下することとなった。藤井財務相が介入をしないとの噂に一時、87円から86.40円へ急落。その後の否定によって堅調な展開になった。また、政府・日銀による円高、デフレ対策に期待する向きは多く、何も具体的な政策がなければ、明日の東京時以降の円高になる可能性は非常に高い。政府は現状の円高水準を容認しないとの発言をし、日銀は量的緩和とマイナス金利政策導入を発表しない限り、円高の流れは変わりそうにない。
このような中、ドバイ政府への支援を申し出ている近隣首長国だが、具体的な金額など提示されない限り、再び、ドバイ・ショックの影響は避けられそうにない。実際、イスラム債権の売買が一時停止となったとの報道に、他通貨ドル、ドル円は急落する状況だ。これからみても、ドバイ問題に対し敏感になっており、注視していく必要がある。
中盤なで堅調なドル円の中、他通貨ドルの買い戻しに連動する格好で、ユーロ円、ポンド円、豪ドル円は揃って、朝方の水準から大幅上昇となり、ユーロ円は130.00円から130.80円、ポンド円142.80円から143.85円、豪ドル円78.80円から79円後半へ上昇することとなった。ただ、終盤のドル円下落により、ユーロ円は129.80円、ポンド円142.75円、豪ドル円79.00円へ戻される格好となった。ドバイ・ショックのように、ドルに与える影響が大きいため、ドル介在とした各通貨への影響が複雑化することから、他通貨円の動きは鮮明なものになりにくい状況だ。
G-20以後、欧州と日本は米国経済が回復するまで、過度な自国通貨高を問題視しないとの見方も有る。欧州は急激な自国通貨高には懸念をするが、実際に現水準を容認する姿勢を明らかにしている。日本も円安誘導を積極的にせず、内需拡大を確約するに近いことを鮮明にしたことにより、手足を自ら縛った格好になっている。そのため、FOMCで明らかになったように、米政府はドル安を利用した米経済回復を目論んでいることから、ドル安是正を期待することは無理だろう。同時に、オバマ米大統領は東京滞在時に、ドル安によるアジアとの貿易拡大を期待する旨の講演をしており、ドル安の長期化は避けられないだろう。よって、主要国による協調介入に期待は出来ず、他通貨と円に対してのドル安傾向が続くと思われる。
ドバイ・ショックは消去法による通貨選別となるが、円はドル安とドバイ・ショックのダブルパンチによる円高になりそうだ。また、ポンドドルは、一旦緩和したドバイ・ショックにより買い戻されたが、栄金融機関財務内容不安は別途、問題視されており、上昇した場面では売られる展開が予想される。ユーロドルに関しては、EU圏金融当局者の欧州金融機関への影響はないとの発言が繰返されており、底堅い展開を見込める。
リスクは、ドバイ・ワールドの系列不動産開発会社ナヒールがナスダック・ドバイに上場している3本のイスラム債の売買停止を要請の影響が、欧米市場へ悪影響となれば、ドバイ・ショック再燃によるリスク許容度の急落を背景にした他通貨ドルの下落になりそうだ。とりあえず、UAE中銀支援策によるリスク緩和となっているが、明確にならない限り、リスク要因となるだろう。
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