7月19日 週間為替予想(20日~24日)
先週は、月初の衝撃的な米非農業部門雇用者数の大幅悪化を引きずる悲観的見方が強まるか、注目される米金融機関第2四半期決算の改善を背景に楽観的見方に転換するかの分岐点となる為替市場だった。特に、市場の多くは貸倒引当金の増額計上を理由に悲観的見方を強めていただけに、リスク許容度の上昇には懐疑的であり、先週半ばまでのドルは対円で93円を超える勢いは鈍く、ユーロは対ドルで節目となる1.40ドルの水準を超えることも出来ず、クロス円でも円売りが加速する事無く、ユーロ円は130円を挟む水準での上下する時間が長かった。一方、中国、ロシア、インド政府が外貨準備の米ドル運用を多様化検討などの観測が流れる中、米ドルの基軸通貨としての地位を揺るがすような政治的問題へ発展する可能性が残されたことも、ドル地合いを弱めることとなったが、中国政府は米国債購入継続を示唆し、ガイトナー米財務長官は「強い米ドルは米国の利益」と発言を繰り返しており、直近の解決できる問題ではないとされ、市場筋はこの件を相場展開の材料から切り離したため、一方的なドル売りは避けられた。今後も市場は実体経済の動きを見ながらの取引に集中できることになるだろう。 その中、注目されたゴールドマン‐サックス、JPモルガン‐チェースの投資銀行決算が市場予想を大きく上回ったことを材料に、リスク許容度は徐々に上昇しだし、円とドルが売られる展開に転じている。また、実質赤字だったシティグループも子会社売却益で黒字を保ったため、一時的な悲観的見方が後退したとみられ、その流れは来週以降も継続される可能性は高まった。今週も数行の大手金融機関決算を控えているが、概ね良好な結果を予想しており、急激なリスク回避とはなりそうにない。また、インテルが事前予想を大きく上回る決算を発表して相場の牽引役となったことを考えると、今週発表予定の半導体関連各社の決算も期待でき、ドル買い安心感は強まることだろう(リスク許容度上昇)。 一方、先週のEU圏経済指標は事前予想より悪化したが、市場は米経済指標改善を中心材料に考え、NY株式市場上昇に連動したアジア、欧州株式市場上昇と世界的経済回復による原油、コモディティ価格の上昇によるリスク許容度上昇に、ユーロドル上昇となるシナリオがコンセンサスとなり始めている。その背景に、6月FOMC議事録において、米経済低迷速度は鈍化しているが、年後半の米経済回復が上方修正されたことがリスク許容度を上昇させることとなった。また、NY連銀景況感指数の大幅改善と米住宅着工の予想以上の上昇が、今週以降の経済回復に期待できる材料となるはずだ。 リスク許容度を低下させる材料は、米CITグループ破綻懸念だ。先週は、相場に織り込まれているとはみられていたが、破綻申請観測を材料にドルは円以外の通貨で買われるというリスク回避を重視した展開となっている。米政府当局は直接支援を避けたい姿勢を崩していない模様だが、大きくて潰せないという規模ではないことから民間金融機関の支援を中心に考えているようだ。民間支援が滞りなく進めば、かなりのリスクは軽減されることになりそうだ。 バーナンキFRB議長の議会証言は、年後半の金融政策の方向を観測することが出来、米国経済の安定さが確証されれば、将来的なインフレに対する政策金利の上げを織り込む相場展開になり、ドルは底堅く動くことになりそうだ。ただ、米経済は高失業率を維持しながらの景気回復との発言を繰返されれば、一時的にリスク回避へ向かう可能性もある。 今週は衆議院解散予定だが、次の政権誕生までの40日の政治空白は確実に日経平均の悪材料となるだろう。この株価下落がリスク許容度低下による安全通貨としての円買いになるか、実体経済をみた円売りとなるかを見極めたい点になり、市場の判断を待つことになるだろう。 20日=独6月生産者物価指数(0.0%⇒0.5%)、米6月景気先行指数(1.2⇒0.5) 22日=EU圏鉱工業生産(-1.0%⇒+1.9%) 24日=独7月IFO景況感指数(85.9⇒86.5)、EU7月圏PMI(製造業・サービス業)(44.6⇒45.3)、7月ミシガン大学消費者信頼感指数(64.6⇒65.0) 週後半にかけて、31日に発表となる米第2四半期GDP予想が大きな材料になると見られるが、底打ち感が出だすか、二番底を探ることになるかによって、相場に与える影響は無視できない。 ドル円 93.00~96.00円 基本戦略 米CIT破綻懸念強まるが、経済指標改善、米企業の好決算期待にリスク許容度上昇、本邦輸出企業のドル売り水準切り上げ、ドル上値余地拡大も。 ユーロドル 1.3950ドル~1.4300ドル 基本戦略 EU圏経済指標好転期待、米企業決算期待に欧米株式市場上昇を材料に、ユーロドル買い安心感強まる ユーロ円 131.00円~136.50円 基本戦略 市場の注視するリスク回避後退による円売りが強まる地合い。ただ、米企業決算悪化によるNY株式市場等下落にドル円、ユーロドルの売り加速の可能性あり、同時にユーロ円も下落リスク抱える。 シナリオリスク:米企業決算悪化によるNY株式市場等下落にドル円、ユーロドルの売り加速の可能性あり、同時にユーロ円も下落リスク抱える。世界的経済回復期待による原油価格上昇は、リスク資産へ資金移動させるが、欧米経済指標悪化に伴う原油価格下落も、リスク許容度低下に繋がる。また、バーナンキFRB議長の米経済に対する先行き懸念、失業率上昇、インフレ懸念などあれば、円買いが強まるだろう。相場に織り込まれていると思われた米CIT破綻懸念は、一時的にリスク許容度を低下させる。
21日=日銀金融政策決定会合議事録
23日=バーナンキFRB議長半期定例議会証言、米6月中古住宅販売件数(477万件⇒480万件)
※当レポートは、投資や運用等の助言を行うものではありません。また、みなさまに特定の商品をお勧めするものでもありません。上記の為替レートは、参考レートです。
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