7月12日 週間為替予想 13日~17日 《11:45》
為替市場の環境を大きく変えた火付け役は、2日に発表された米雇用統計が市場予想を上回る悪化をし、雇用者数が大幅減少したことだ。それ以前は、欧州市場の景気回復底打ち期待による将来的なインフレリスクを考慮したと思われるECB利下げ観測が後退したことや米政府やFRB幹部などの年後半からの景気回復を示唆する発言が、楽観的見方を強める結果となり、ドル円は98円を目指し、ユーロドルも1.41ドルを超える勢いとなった。また、米住宅市場関連の指標改善に消費拡大を期待する声も強まり、市場関係者の言うリスク許容度の高まりを背景に、安全通貨としての円とドルが売られやすい状況にあった。しかしながら、米雇用統計に期待を寄せ過ぎたために、その負のサプライズが消化しきれない先週の相場展開となった。特に、世界景気回復に伴う原油、コモディティ需要の高まりによる価格上昇を背景に、資源国、高金利通貨などへ資金が流入していたが、米雇用統計悪化を境にストップロスを巻き込みながら、結果、円とドルが安全通貨として買われることとなり、その傾向は継続されると思われる。因みに、6月末から先週までおおよその高値、安値を見ると、豪ドル円78円⇒71円、NZ円63円⇒57円、ユーロ円137円⇒127円、南アランド円13円⇒11円、豪ドル/ドル0.8150ドル⇒0.7750ドル、ユーロドル1.42ドル⇒1.3850ドルと軒並み下落しており、安全通貨としての円とドルへ資金移動したことが一目瞭然だ。
世界経済を牛耳っていた主要国首脳会議は35年前に仏ランブイエの館から始まったが、米国経済低迷時には、日独両国が車の両輪として世界経済建て直しを図るとの力強いリーダーシップを主張していた。ここ数年、中国、インド、ロシアなど新興大国による世界経済に占める割合が拡大した為、米国中心主義が崩壊しつつあり、米大統領はその中国、インドロシア抜きの枠組みは意味を成さないとしており、結果、米ドルの地位を自ら弱まったことを認める格好となり、市場がリスク許容度を重要視するコンセンサスが醸成されることとなったと考えられる。ただ、米政府は強いドルは米国の利益との主張を繰返しながらも、シタタカにドル安の恩恵による経済回復を目論んでいるようにも感じられる。その結果、日本経済の遅れの原因ともなる円高になり、日本政府は過大評価されている円水準の是正を求めるべきだが、発言力の低下により、その代償は日本へ付回されている状況だ。日本は財政悪化、政治不信、生活環境悪化、資源小国、地域不安低の中の防衛不完備、少子高齢化、人口減、食料自給率低下など抱える問題は多く、そのような国の通貨が安全通貨として買われるということが、非常に理解し難いことだ。
一方、今回のG-8で、オバマ米大統領は、世界的株式市場が再び下落に転じたことで、景気刺激のため、これまで行われた全世界で2兆ドルもの支出が消費や企業活動を回復させるに至っていないとの懸念を踏まえ、追加的な景気刺激策を導入する可能性を残しておくよう強く働き掛け、出口政策を検討する時期ではないとし、景気回復の先行き懸念を強めている。市場筋は、景気先行き懸念を強め、リスク許容度を低下させる根底にも成っているようだ。
今週は欧米経済指標と米大手企業決算が多いが、その結果内容によって、相場の上下は繰返されると思われるが、欧米はじめ世界経済の回復を裏付ける材料があっても、市場コンセンサスが悲観的見方を強めており、対他通貨及びドルでの円売りや対他通貨でのドル売りが強まるとは予想しがたい。欧米経済回復の兆しが見られない限り、コモディティ、原油価格の上昇に期待が持てず、市場がリスクを取りにくい状況は継続されることだろう。株式、商品市場動向によっては、良い材料は相場に織り込まれ、現在は悪い材料に過敏に反応しやすい状況にあることは否定できない。
注目されることは、米大手企業、金融機関の決算が相次ぐことだが、米大手金融機関の決算に関しては、上昇すると思われたNY株式市場の上値が重かったことや住宅市場関連指標の低迷、雇用環境悪化に伴う消費低迷などの影響を受け、貸倒引当金の積み増し等、決算内容悪化が懸念さる中、市場の一部は資本増強の必要性を問う声も上がり始めており、リスク許容度は大きく低下する傾向だろう。また、欧米経済の先行き懸念が強まる一方、中国経済回復に期待が寄せられており、中国GDPの発表に期待が掛かっている。また、6月FOMC議事録が、米経済先行き懸念を強めた見方が出るとの観測があり、楽観的になれない状況は続きそうだ。
今週は下記の経済指標が重要視される。前回実績、今回予想を括弧内に記しておきたい。
14日=独6月ZEW景況感調査(44.8、48.0)EU圏5月鉱工業生産(-1.9%、+1.5%)、米6月生産者物価指数(0.2%、0.8%)、米6月小売売上高(0.5%、0.4%)
15日=日銀金融政策決定会合の結果発表、白川日銀総裁会見、EU圏6月消費者物価指数(-0.1%、-0.1%)、米6月消費者物価指数(0.1%、0.6%)、7月NY連銀製造業景気指数(-9.4、-5.0)、米6月鉱工業生産(-1.1%、-0.6%)、FOMC議事録(6/23-24開催分)
16日=中国GDP(第2四半期)、7月フィラデルフィア連銀景気指数(-2.2、-5.0)
17日=EU圏6月貿易収支(-2.5b、0.0b)米6月住宅着工件数(53.2万件、53.0万件)
ドル円 88.00円~94.00円
基本戦略 悲観的見方が強まる中、楽観的経済指標に円売りとなれば、ドル売りが加速する展開が見込まれ、円高地合いが継続する。ただ、本日の東京都議選で民主党が勝利すれば、麻生政権崩壊になり、政治的混乱、日経平均下落など一時的な経済後退を理由に、円売りになる可能性は大きく、週序盤のドル買い/円売りは絶好の円買い水準になる。
基本戦略 週初、EU圏経済指標改善や米国経済悪化にユーロドルの上昇を予想するが、リスク許容度低下を重視することから、ユーロドル下値模索の展開となる。
ユーロ円 127.00円~133.00円
基本戦略 リスク許容度低下予想の中、EU圏経済改善や米経済悪化による一時的なユーロドル上昇する場面も考えられ、一方向のユーロ円下落は期待できそうにないが、基本的な展開は円高だ。
※当レポートは、投資や運用等の助言を行うものではありません。また、みなさまに特定の商品をお勧めするものでもありません。上記の為替レートは、参考レートです。
※日中の相場変動、解説はユーロパートナー新着情報に随時掲載致します。







